横顔対談


top >
茶道

 

t02200293_0480064011845746626

 

φ:で、茶道、まだやってるのかしら。

 

 

Ω:不思議と続いてるね。日本一の茶人の力だ。

 

 

φ:「おまえはいつも道理を外すから、道理のあるところに行け」って云われてはじめた割には、がんばっているじゃない。三千家ってよく耳にするけれど、あれは何なの。

 

 

Ω:あゝ、あれはただの喧嘩だよ。三友棚っていうのがあってさ、明治元年に当時の大徳寺官長が、不仲だった三千家をみかねて贈ったらしいんだよね。昔は天地の天が丸で、地が四角って考えられていたから、三友棚も円形の天板と長方形の地板で挟まれていて、そのあいだに竹の二本柱が通されているわけ。竹のフシは片方がふたつで、もう片方がみっつ。ここで陰陽学的に和合させているらしい。特に、フシみっつの竹には、柄杓掛けが二股にでているから、ダブル和合になっているんだけどさ。続ける?

 

 

φ:ついてってますよ。要は、仲良くさせるために、和合三昧の編集をしたってことでしょう。

 

 

Ω:そういうこと。というわけで、三友棚の板は松でできていて、天板の梅の蒔絵に竹とあわせて松竹梅。聖徳太子の時代に、カネワリという絶対美が中国から輸入されて、建築技法が発展したんだけれど、そのカネワリを千利休が茶道にあてはめたんだよね。これがすごい編集だった。陰陽五行を畳のうえに再現して、茶室を小宇宙にしちゃったんだから。三千家は利休のその絶対美を三分の一ずつに配分したに過ぎないんだ。茶杓の置き方はこちらの千家が正しいけれど、茶筅の置き方はあちらの千家が利休と同じということにしましょうってやったんだってさ。道理を忘れて、流派だらけ。

 

 

φ:ふ~ん、くだらないね。あゝ、だからそのための三友棚だったわけか。一歳児は一という数が理解できるようになって、二歳児になると二が理解できるようになるって聞いたことあるけれど、二歳児にならないと陰陽はわからないのかしら。

 

 

Ω:へえ、そんな話があるんだ。おもろい。宇宙は無という0(ゼロ)から、ビッグバンとともに生まれ、それと同時に数字が1から9まで飛び散ったと茶道のワールドモデルでは考えられているからね。森羅万象凡ては1から始まり、9で極まる。すなわち零以前が花である。

 

 

φ:その言葉、Ωのじゃないね。

 

 

Ω:ご明察。大先生の請け売り。

 

IMG_8051

 

φ:自分の言葉で話さないと、対談してあげないよ。

 

 

Ω:齢七十以前はひよっこだから語ってはならないという世界だよ。茶道に対する自分の言葉なんて、厳しいな。おもしろいのがさ、何年かまえに若先生に講演会をしていただこうとおもったのよ。で、若先生に「先生に講演会をお願いしたいのですが」と電話でお願いしたら、「今ちょっと訊いてみるね」って云われて、そのまま大先生の講演が決まってしまった(笑)。大先生が話されるのをオープンにしたら、大徳寺からお坊さんたちが怒涛の如く押し寄せてくるって脅されて、腰引けながら、秘密裏に和室で五十人規模の講演会をしていただいたんだよ。

 

 

φ:君は相変わらず、たまたまを必然にするよね。すごいじゃない。

 

 

Ω:本当だよ。大先生はそれまで講演会なんてされたことなかったから、うっかりパンドラの箱をあけてしまった。しかも、あけたらあけたで、あまりに話が高尚過ぎて、誰もわからない(笑)。

 

 

φ:可笑しい。

 

 

Ω:最近はわかりやすい講演会が流行っているみたいだけど、これですよ。まったくわからないが、ものすごいことを話されているのだろうなというあの雰囲氣。たしか沢庵和尚の秘伝の話をしてくださったんだ。秘伝だから、話せないけれど(笑)。

 

 

φ:秘すれば花ね。Ω、その先生のこと大好きなんだね。

 

t02200165_0640048011739586329

 

 

Ω:あと幾度輪廻転生しても逢えない方だから、逢っておけって云われてさ、実際お逢いしたら、初めて日本人に生まれてきてよかったなっておもった。ほら、俺さ、今のすっかり家畜化された日本が嫌いじゃない? よく最高の反日は日本人だって云う話を耳にするけれど、あんなの当たり前だとおもうよ。明治維新に戦後のGHQによる3S政策を経て、俺たちにわずかに残された江戸っ児の血が怒ってるんだな、きっと。話それちゃった。というわけで、もうおじいちゃん先生なんだが、この人が長生きするためだったら、俺は命を賭さなくてはならないと素直におもえた人です。

 

 

φ:まことの師に出逢える確率っていうのはさ、宝くじに当選するよりも低いって聴くけど、君は出逢えたんだね。だから、これまで犯罪を犯さずに済んでいると(笑)。だって、そういう人いなかったら、あなた人でなしだもん。

 

 

Ω:失礼な! 男に惚れられる生き方と表現していただきたい(笑)。でも、縁って不思議だよな。道具にも縁ってのがあって、大先生見てると、集まってくるんだよね。美術館に厳重警備されるべき名物が。そして、それを先生はしれっと水屋に置いておくと。普通はそんな国宝級のものを弟子に使わせないんだ。見せるだけでも、大判振舞いなのに、大先生は黙って茶を点てさせる。それで割れたら、その茶碗の運命だってさ。

 

 

φ:ちょっと私もお逢いしたくなってきた。

 

 

Ω:ぜひぜひ。もうあの先生は輪廻から外れていきそうだから、逢うなら今のうちですよ。本物の茶道具だけに触れさせておいて、安物の食器もそれと同じように扱えっておっしゃるんだ。いや、これは若先生に聴いたんだっけかな。兎にも角にも、だから、大先生は俺みたいな半人前も一流の人と同様に扱ってくださったんだと、なんだかφと話しているのに泪でてきちゃったよ。

 

 

φ:茶室に半ズボンで行ったんだもんね。

 

 

Ω:うん、正坐させられて、とくとくと茶道における着物の歴史を聴かされた(笑)。別の日には、「Ωちゃん、ちゃんと考えなさいね」と云われた。臨済禅だから、いかに思考を棄て果てるかを実践してきた人に(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

merumaga

対談中リスト

「身」バックナンバー

「書」バックナンバー

「医」バックナンバー

「食」バックナンバー

「住」バックナンバー