横顔対談


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カラダ本鼎談

対談者:#、S・Ω
2014年11月24日~

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Ω:今日は、「本とカラダ」というテーマでお願いしますね。

 

#:いやあ、楽しみです。

 

S:うちらにぴったりなテーマじゃないですかね。

 

Ω:ありがとうございます。カラダの本といえば、なんだか読んでいるだけで上半身がゆるむ本ってありませんか。昔、高岡英夫さんの『究極の身体』を読んだときがそうでした。※1

 

S:読むだけでゆるむ本かあ。紹介できる真面目な本はないですね(笑)。

 

#:私はゆるむ本というのはあまり記憶にないのですが、ゆるむ読み方であれば、やったことがありますね。

 

Ω:いったい、どんな読み方をされているんですか!?(笑)

 

S:#くんがゆるみきって本を読んでいる姿を視てみたいなあ。冗談はさておき、定期的に読み返している本なら何冊かありますよ。中勘助さんの『銀の匙』は好きで、ずっと読んでいます。それと最近買いなおしたのですけど、『無門関』や伊藤昇さんの『身体革命』、柳恵誌郎さんの『驚くべきテニス』とかですかね。ゆるむというよりは、軌道修正している感じです。

 

Ω:伊藤昇さんの本はシンプルなところが僕も好きです。伸びる とか、捻る とか、結局は宇宙も人もそこにいくのかもしれませんね。あと個人的に、『無門関』はゆるみます。職員室に置いてあって、毎朝、一則読んでから仕事しています。意味はちんぷんかんぷんなんですけどね(笑)。なぜか、やめられないんですよねえ。で、♯さんは、どんな体勢で読書されているんですか。

 

#:いや、読まずにめくるだけですよ。字を読まずに次から次へとページをただ漠然と眺め続けることにより、右脳 が刺激されて、カラダがゆるんでくるのではないでしょうか。最近は、パソコンの前に十数時間向かい続ける仕事をしていて、どうしても右眼優位の視方をしてしまいます。でも、この運動をすることで、左眼優位 の視方になるので、心身ともにリフレッシュしますね。最高です!

 

S:ほんと変態だよね(笑)。※2

 

Ω:どこを目指しているのかわからない(笑)。

 
S:高岡先生をはじめ、多くの方が「ゆるめる」ことについて本を出されていますけど、私が思うに本を読んでいくと、自然に心とカラダがゆるんでくるんですよ。そして、崩れていたバランスが軌道修正されて真ん中に戻ってくると思いますね。

 

Ω:なんだかカラダの中道みたいなお話ですね。

 

S:脱力すればよい訳じゃない。修正できる本と出会っていれば、歩いていても、本を読んでいるときも、食事をしているときも、無意識に修正できているんですよ。所作が綺麗な人は、きっと良い本を読んでいるか、良い出会いがあるんだろうなあ。

 
Ω:先日、北野武さんがピラミッドをつくった人は偉い!ってテレビでおっしゃっていたんですよ。ちゃんとそれで子孫に飯を食わせているんだからと言っていました。おもしろいなあと思いましたね。日本で古いカラダ本といえば、宮本武蔵 とか沢庵和尚あたりがありますが、あの人たちの本をアナトミートレイン等の解剖学本を片手に見ると、ものすごく理にかなっているんですよね。ああ、この人たちのカラダに対する直観に、僕たちは飯を食わせてもらっているのだなと感じました。

 

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#:沢庵和尚って、カラダのこと書いているんだ?

 

Ω:ええ。高岡先生はゆるめばOKという感じですが、沢庵和尚は伸びればOKという視点ですね。「神は伸なり」という表現をされています。※3個人的には、沢庵和尚のカラダ感覚の方がしっくりきます。プロのラグビー選手はどういうカラダ感覚に重点を置かれているのですか。

 

#:ラグビーの場合、カラダ感覚の優れた選手ほど「のむ」・「うつ」・「かう」が徹底されているという傾向があります。やはりそんな選手達は無駄に筋肉がついていない感じです。※4 力の入れ方・抜き方、に関する指導はほとんどないですね。カラダ感覚については個人のセンスに委ねられているのが現状ですね。

 

S:日本のスポーツは、団体スポーツでも最終的には個々人に仕上げを任せていますよね。最近は、トレーナーはじめサポートは充実していますが、外国と比べると格段に違う。良い意味で個々人を尊重し、お互いの信頼感があるからなんですね。外国に行くと信頼感なんて全くないんです。一緒にプレーしていても、それはそれ。これはこれ。日本人では理解しにくいですけど……。 だから契約する時に、例えば野球でしたら、何 までと契約で決めてしまうんです。選手としては保護されているんで、安心してプレーに集中できますが、日本のように来季もプレーできる保証は全くありません。 もったいなあと思うのが、日本人は日本についてよく勉強していないんですね。例えば、沢庵和尚の『太阿記』 にしても、あれは立派な兵法ですよ。※5でも、ほとんどの日本人は知らない。ちょっと知っている人で、宮本武蔵の話に出てくる和尚さんくらいのもんです。すべてのスポーツにおいて、ほんの少しでも太阿記を学んでいたら、結果は全く変わっていたんじゃないかと思う試合が多いですね。

 

#:そうですよね。日本人の潜在する身体能力、精神性 、 そしてチーム力、戦術は世界に誇れるものであるはずですよね。そんなところをスポーツで世界に発信していくことが、これからの最大の醍醐味かもしれない。

 

Ω:そもそもカラダの中道 ってどこなんですかね?よく日本人は肚だって言いますけど、あれは屁みたいにつまらないと思うんです。やっぱり中道ってのは、真ん中からちょいズラしたところにあるべきでしょう?沢庵さんだと、どこかひとつに意識を置いている時点で野暮だねと言うかもしれませんが、カラダ意識をひとつ残して、あとは捨て去るという感覚は重要だとおもいます。

 

S:意識をどこに置くかでいいんだと思いますね。

 

Ω:意識ですか。真理ってのは、たぶん球なんですよ。吉田晋彩先生が昔、真理とは「すべてを捨て去ってひとつ残したもの」 っておっしゃっていたんですが、少しだけ意味がわかったような気がします。※6角がないと削りようがない。だから、 は真理なんだなと、カラダが最近納得しました(笑)。で、ひとつだけ球に角をつけるなら、どういうカラダ感覚に重きを置くかということなんだとおもいます。日野さんなら胸骨操作、宇城さんなら相手に入る感覚とかあるじゃないですか。※7そこのズラし方が個性ですよね。

 

S:肚=中道 は、前提条件に「カラダが既に存在する」であって、「ココロは後から付いてくる」という考えになっていますよね。でも、本当は逆なんだね。そもそも、「ココロ」しかなくて、「カラダは意識の中で存在するもの」なんだと思います。Smilingtennisでも Nextbodyでも、できる限りカラダに触れなかったのは、ココロで感じて、カラダに沁み込ませて欲しかったんですよ。※8カラダで覚えこませるのは、一番簡単なことだけれども、それでは潜在的な能力を引き出せない。その人を信じ、その人の感覚に委ねてみるんです。時間がかかる人もいれば、一瞬で感覚がつかめる人もいる。それは、その人が「どこに意識を置いているか」の違いだけなのではないでしょうか。

 

Ω:いつもヘラヘラしてるくせにズルいなあ(笑)。Sさんのすごいのはなんと言っても、眼のピント ですよね。視力検査の観点から言うと、眼悪いんでしょう?なのに、ピントをどんぴしゃりで合わせてくださるじゃないですか。眼が悪いのに、ピントがあう。テニスも本当に視えてないの?と思うときが多々あります。僕なんて、ワンデーアキュビューとったら、屁みたいな眼力ですし、#さんにいたっては、新幹線乗るとき、上眼遣いではいってきますからね。※9ピントも意識の置き処なのでしょうか。

 
S:これも、どこに意識を置くかだと思いますね。人間は眼で情報をキャッチします。でも、視える範囲しか認識できない。 や耳、肌の感触 を使えば、意外にも見えなかったところがうっすらと認識できるようになってきます。眼が悪い分、その他でカバーするしかないんですよ。それと一点に集中すると認識できる情報が限られてしまうから、出来る限り拡散して集中できることを心掛けていますね。拡散させれば、自然といろいろなものが視えてくるものなんですよ。だから、「俯瞰(ふかん)」 することがとっても大切なんだと思います。

 

#:なるほど~。だから俯瞰が大事なんですね。私なんか上眼遣いで精一杯ですよ。たしかに自分自身の大失態に対してでさえも、これはネタに使えると判断すれば、番組プロデューサー的なもう一人の自分がその状況(Live)を引きのアングルで捉えることがあります。そうするとその場で同時進行しているさまざまな出来事、空気感をリアルに味わうことができますね。時にはこうしてカラダから離れてみることも楽しいかもしれませんね。

 

Ω:#さんは上眼遣いでも眼力ありますからね。斎藤一人さんの『眼力』に対抗して、#著、『上眼遣い』という本を出されてはいかがですか(笑)。ところで、眼力って一体なんなのでしょうか。僕のなかで眼力がすごかったと記憶にあるのは、利き眼が右でしたら、加納先生のお師匠さんをされています伊吹さん、利き眼が左でしたら、京都の中井さん ですかね。※10さすがだなあと思って視ていました。その一方で、突き抜け過ぎてしまって、眼力に重きを置いてない方も見受けられます。禅の方々は、眼の左右なんか本当に眼中にない(笑)。眼は心の窓 といいますけど、何も考えていないような、すべてを見透かされているようなフワフワした眼です。そういえば、昔、Sさんが#さんを視ただけで、宮下さんの利き眼を変えてもてあそんでいましたけど、利き眼を短時間で変えられるってどんな感じなんですか。※11思考パタンが変わりますよね?

 
#:あれは衝撃でしたね~。見える世界がある意味真逆でしたから。左眼で見ている状態を知れたので、リラックスしたいときや俯瞰してみたいときなどに意図的に眼の使い方(モード)を変えて遊ぶことができるようになりました。ゆるむ読み方なんかはまさにそれですね。楽しいですよ。プチゾーン状態 を自在に味わえるわけですから。今の仕事でも一人で勝手にマウスを左サイドに置き、薬指でクリックしたりなんかしちゃっています。誰も気付かないんですよね~。

 

Ω:左手の薬指でマウスをクリックされているのですか。完璧に変態ですね。それは誰も気づかないのではなくて、皆さん、視て視ぬフリをしているんですよ(笑)。

 

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S:利き眼は変わりますよ。瞬間的だったら誰でも変わるんじゃないですかね。お箸 を左手でもって食事するのをSmilingtennisでもNextbodyでもやったけど、あれと同じこと。左手でお箸を使える人が「コツ」を教えてあげればいいんです。使ったこと無い人は、単に感覚がないだけなのです。利き眼が左の人が、利き眼が右の人の左眼をじっと見てピントを合わせます。利き眼じゃないから右眼でピントを合わせようとするけど、あきらめず左眼にあわせることをしていると、ちゃんとピントが合うんですよね、不思議と。ゾーンという言葉が流行っているけど、利き眼が右の人が左でピントを合わせた瞬間にゾーン に近い状態になると思っています。ゾーンを批判するつもりは全くありませんけど、ゾーンは日頃の積み重ねが生むものであって、ある日突然「分かった!」「できた!」と答えを導き出せたとき、視える世界が全く変わったようになるんでしょうね。きっと両眼でピントが合っているのだと思います。

 
Ω:『眼が人を変える』という田村知則さんの本もありましたね。

 
#:ついさっき、庶務さんに「なんでマウス が左なの?」 と簡単に見破られました。浅い……。そんなことより、Sさんの話により両眼でデスクワークをすることを決意したのですが、どんなアプローチがあるでしょうか?もしくは、その決意が間違っているならご指摘下さい。

 

Ω:どんな決意ですか(笑)。僕もそうですけど、利き眼右の人は頚椎一番 が左に捻れています。左薬指クリックはその捻れを逆にする傾向がございますから、よいとおもいますよ。

 

#:なるほど。慢性的な頚の障害を抱えてしまっている我々にとっては素晴らしいメリットです。また指導の幅が拡がりましたよ。

 
S:そうだね、左眼のトレーニングは簡単だよ。今まで通り、左でマウスを操作する。マウスを使っている左手を視る。これで十分ですよ。利き眼が右でも、左眼 でピントを合わせ見るようになるからね。感覚と眼から入ってくる情報にはズレがあるから、修正が必要だと思いますけど。

 

#:ありがとうございます。マウスを操っている左手をどのように視るのですか。視界に入れる程度でいいのか、はたまたガッツリ視るのですかね。

 

S:ちら視で大丈夫です(笑)。ただし、左を見るときに 顔をマウス側に向きを変えてしまうと右眼でピントを合わせてしまうので、顔は正面(画面)を見ながら、ちらっと視れば良いですよ。

 

#:うおお、30分仕事して外出したら完全に視界が変わってしまいました。俺は会社で何をやっているのだろうか……。

 

Ω:#さんに指導されたい方がたくさんいらっしゃると思いますよ。パソコンでチャットしながら、密かに準備 されないと(笑)。ところで、お二方は女性のカラダのどこがお好きですか。

 
#:アキレス腱 ですかねえ。 最近では足首まで範囲が広がりましたが、どうしても下半身下部に眼がいってしまいます。

 
Ω:Sさんは?

 
S:あっしは耳を視ますね。耳たぶの上にくぼんみがあるじゃないですか?あそこを視ます。話がそれました。所作の綺麗な人 は好きですね。

 
Ω:お二人とも、マニアックですね。どんな をされているんでしょう。心があってカラダがあるという感覚は理解できます。だから、所作の綺麗さがその方の心をうつすのだとおもいます。でも、意地悪な視方をすると、心が淀んでいるのに、所作が#さんのように綺麗というような離れ技をされる女性もいらっしゃる気がするのですが、どうなんでしょうか。

 

S:所作は誤魔化せませんよ。人は視てているところしか認識できないので。後ろ側の所作は、見えないから隠しているつもりでも隠せないんですね。普段どんな生活をしているか、どんな稽古をしているかがなんとなくわかります。

 
#:背中はいいですよね。

 

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Ω:後ろの所作というのは、肩胛骨仙骨 ですか。たしかに後ろ側は隠せないのかもしれませんね。

 

S:最近は腰痛の女性が多いので、腰のラインがくびれていても脊柱のS字ラインが綺麗じゃないケースが多いようです。お尻が垂れるのが嫌だとトレーニングしている女性が増えましたけど、S字ラインをトレーニングする女性は少ない。例えば、「お茶を習っています」と言っても、S字ラインが崩れているのでは話になりません。いつだったか、テレビを見ていたときに「就活がうまくいく云々……」って番組を見たんですが、教える先生が崩れていました(笑)。あれじゃ、教わっている学生は全滅してしまう。スポーツでも同じじゃないですかね。S字が崩れているのに、最高のパフォーマンスを出そうとしても無駄だと思います。昔、インドから来ている留学生とラリーをちょっとだけしたことがありましたけど、ちゃんと教わった体の使い方でしたね。仙骨や を意識してプレーしても、S字ラインが崩れたらパワーでカバーするしかなく、結果怪我をしてしまいます。体の部位を鍛えるのも良いですが、全体的に合っているのか確認をする場が試合本番しかありません。お茶を習うのも良いですよね。外国だと、違うスポーツをしてチェックしたり、トレーナーが全体的な仕上がりをチェックするんですけど、国内だとそこまで徹底されていないからなあ。

 
Ω:ピークピラティス の理事をされている佐藤先生が、日本は近いうちにスウェイバック天国、つまり、S字が崩れた人間ばかりになるってお話をされたそうです。※12たしかに、高校生を教えていて気付くのですが、そこら辺にいるおっちゃんおばちゃんの方が、背骨がたしかなケースが少なくないように思います。もう少しお話を伺いたいのですが、なぜ茶道がS字によいのかピンときません。晋彩先生には茶碗 や茶杓の持つ位置をよくなおしていただいています。あれはカラダをカネワリ から視て最も美しくみえる場所が自ずと決まるらしいのです。背骨とは関係ないですよね。ああ、でも、奥様によく背骨が曲がっているって叱られてるか(笑)。綺麗なS字をつくるためには、何を心がければいいんですかね?

 
S:『南方録』では茶室には厳格な曲尺割があるっていうじゃない。カラダも本来厳格な曲尺割があったはずなんですよ。腰椎仙骨角度 、すなわち腰仙角が30°よりも大きくなっても、小さくなっても人は立っていられませんから。筋肉もそうなんですけど、思考が狭くなり固くなってしまって、腰椎仙骨角度を崩してしまったんじゃないでしょうか。綺麗なS字を作るには、晋彩先生がおっしゃるように心のちりを払い落さないといけないのかもしれませんね。

 

Ω:骨盤にもあるべき角度というのがあるんですね。おもしろいです。

 
#:よくΩポンと話題になるのですが、茨城で行われたSさんのご指導は、9000年の座禅に相当します。どんな出会いをされているんですか?そして、何を企んでいるのですか?さらに、何と闘っているのですか?(笑)

 
Ω:たしかに、茨城合宿には国家予算7年分の価値はありますね(笑)。

 
S:いや、普通ですよ(笑)。

 
Ω:よく背負っているものが違うとか、背中で語る とかいう表現を耳にしますが、Sさんはなにかを背負っていますよね。人や本とのたしかな出会いが、ひとつでもあれば人は自分を律することができると思うんです。中道に軌道修正されたS字脊椎ができるのではないでしょうか。その意味で、本の背表紙が僕は好きですね。平積みされている本を僕はほとんど買わない。すごいのかもしれないけど、背中以外で語り過ぎな本として視てしまいます(笑)。人が伝えられぬものを背負ったら、その人が話していても、静寂 になるでしょう?あれは不思議ですよね。#さんは、揺さぶられることを趣味とされていますが、揺さぶられ度はカラダのどこにでるのですか。

 
#:「人が伝えられぬものを背負ったら、その人が話していても静寂になる」とは美しいですね。富山で教師をやっている友人がおりますが、彼は生徒一人一人と向き合おうとし過ぎて背中がペランペランでありました。 そんな彼には、ルパン三世の「お~とこには~自分の~世界が~ある♪」 のワンフレーズを20Setやらせました。※13自分の軸でもって生きていなければ人はついていかないですよね。 揺さぶられた時、自分は にくるときと肚にくるときがあります。胸の時は左右に揺れている感覚、肚のときは揺れが全くないのですが、その場でゆっくりと振動している感じでありますね。その二つの感覚を味わうことで、状況によって揺れ動くものと、何があっても不動のものがあるということを知ることができました。自分の中で揺れ動いているものを不動のもの観点から観る、あるいはその逆をしてみる。俯瞰 とはこのようなことを言うのでしょうかね。

 
Ω:#さん、おもしろいなあ。ルパン20セットは、美しいS字によいかもしれませんね。以前、立原正秋さんの作品のなかに、「しなやかな妻の背中(そびら)」という表現があったのですが、「そびら」とも背中は読むのですね。きっとたしかなSだったのだと思います。背負っている質が似ている者同士はカラダで語りあえるのかもしれませんね。国家を背負っている男とキティーちゃんを背負っている女とでは、どちらがよい悪いとかではなく、やはり共有できるところが少ないでしょう?いや、そんなことはないのかな。魂レベルで共鳴すれば、分かり合えるのかな。兎にも角にも、最近、偽りのものを無駄に背負われている方と、あゝ、この人は本物だという人の差が著しくなってきたと感じております。カラダも超格差社会時代に突入するのでしょうか。

 
S:いつもと違って、今回は君たち深いな(笑)。心とカラダを勉強していないと、他人を批判し悦に入ることで終わってしまいますもんね。

 
Ω:#さんの胸と肚の話はたしかに深いですね。先日、自宅で支那そばをつくって友人四人にもてなしていたら、その支那そばの味が口コミで広がり、一年間で二千人が遊びにきたという女性にお会いしたのですが、「胸の鐘」という言葉を使っておられましたね。胸の鐘が鳴ればやるし、鳴らなければ世間に流されず、やる!ということでした。僕は一瞬、重心 が高いかなと感じたんですが、#さんの言葉でなんだかしっくりきました。たぶん、胸の鐘タイプの方は動きながら、バランスをとっていくのが得意なのでしょう。対照的に、肚タイプは静かにバランスをとるのが好きということなのでしょう。しっかし、僕、胸椎かたいんですよね。日常の所作で胸椎のひっかかりがもっとなくなれば、もう少し上手に動けると思うことが多いです。#さん、今度、僕の胸椎をタックルで破壊していただけませんか。胸椎、邪魔です(笑)。

 

#:自分も胸椎破壊したいです。お互いやりますか。どんな痛みにでも耐えますよ。

 
Ω:へへへ、残念ながら時間がきたようですね。お二方とも、長々とありがとうございました。またお会いできるときを楽しみにしております。

 

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【脚注】

 

1、高岡英夫:ゆる体操創始者。カラダに関する本を何冊も執筆。

2、自分の変態性を完全に無視した発言だと思われる。

3、沢庵和尚全集第五巻参照。

4、現役時代、カラダの使い方を変えて、無駄な筋肉をおとした経験をされている。

5、太阿:陰陽がうまれる前の情態。この情態にあることをよしとする書物。

6、吉田晋彩:茶人。清水克衛理事長の育ての親。宮下哲朗さんや吉田万里子さん、菊池雄星くんなど多くのアスリートが集う茶道教室でもある。

7、日野晃:日野武術研究所主催。著書に『ウィリアム・フォーサイス、武道家・日野晃に出会う』等がある。

  宇城憲治:UK実践塾代表。著書に、『空手と気』等がある。

8、Smilingtennis:全国から東京都江戸川区の小さなテニスコートに集まった伝説のテニスレッスン。Nextbody:カラダの使い方レッスン。一年間限定であった。宮下さんもいらしていた。

9、2009年の山形合宿の帰路、新幹線の自動扉を上眼遣いではいってきた経緯がある。岩のようなカラダと眼の使い方のギャップがたまらなかった。

10、伊吹卓:商売科学研究所代表取締役。著書に、『バカになれる人ほど人望がある』等がある。

  中井隆栄:サピエンスマネジメント代表取締役。著書に、『自分ブランド構築術』等がある。

11、視神経が交差しているため、利き眼が右の方は左脳派。利き眼が左の方は右脳派と言われている。利き眼の使い方ひとつで、コミュニケーションやコーチングが円滑になりやすい。

12、ピラティス:もともとジョセフ・ピラティス氏が兵士のリハビリとして開発したエクササイズ。

13、まったくもってわけがわからない……。

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